アタシに付きまとう彼が愛おしい

夏休み☆


思わず大声であげてしまう。

目の前にいる葵はビックリしたようにアタシを見た。

「健永くんがね、旅行に行こうってさ!今まで1回も遊びに誘ってくれなかったのに」

「もしかして…♡」

「あー違うの!」

LINEグループに入ってるメンバーを葵に教えた。


「私も行っていいの⁉︎」

メンバーは、直哉、健人、葵、アタシ。


4人で長崎旅行。


当日の朝から最悪だった。

大雨のせいでね…

ハウステンボスじゃなくなる。

「お前の不注意だろ」

いきなりに横に神谷くんがやってきた。


アタシの不注意…?




「え、アタシ何かした…?」


何が不注意なのか、よく分からなかった。




「何で今日なんだよ、ちゃんと天気予報を見とけ」


え、アタシが雨の日に旅行を入れたから?

それは違うよ。

3人の都合の良い日を聞いて、それに合わせたら今日なんだよ?4人とも空いてる日が今日と明日しかなかったよ?

確かに天気予報をちゃんと確認してなかったのは悪かったよ。

でもね…


そんなことでアタシのせいにしないでよ…

こんな時は、大丈夫だよって優しく言って欲しかった。


「子供みたいな事を言わないで、雨でも楽しめるような内容を考えられないわけ?」



ついに言っちゃったよ…

でもいいよね…?

だってこの人、初めて会った時、「お前は誰」ってアタシに言ってきたもん。

普通はありえないもん。

常識のある人ならそんなことは言わないし。

初めまして、だよ!

仲がいい人ならまだ分かるけども…!

アタシだって、初めて会う人に「お前」なんてとても言えないもん。





「置いとくよ」


「は、待ってってば」


そんな事を思ったって仕方ない。

旅行に来たからには楽しまなきゃ!


「早くしろ、ちゃんぽん食うぞ。お前がボーッとするから2人が先に行ったんじゃねーか」


「先に行けばいいのに」


言っとくけど、アンタのせいだからね!?

神谷くんの歩きのスピードに合わせて一生懸命に歩く。


本当は観光する予定だったけど、雨が酷かったからアミュプラザで有名なカステラ店に行ったり、ちゃんぽんを食べたりした。

3時間も歩き回って、これからは旅館。


旅館に着くと、男子はテレビでも付けてのんびりか。

アタシと葵は、布団を敷いた。


テレビの横に植えられてる花を写真撮る健永くんに話しかけたのは、


「河野って、絶対に彼氏できねーだろ」


男子はこうやって、アタシをバカにするからぶっ飛ばしたくなる。


「神谷くん、口数を減れば無駄にイケメンなのに残念だね」


「はいはい」


見た目からそういう風に思えるんだけどね。


「アタシ、気になってることがあるんだよね」

「なんだよ」


スマホをいじっていた手を止めて、アタシをじっと見つめてくる神谷くん。


きっと、神谷くんは彼女いたことがないから女の子に接し方が荒いのかな。


「彼女いたことないんでしょ?」


「は?最近までいたけど?しかも3年」


あぁいたんだ。てっきりいないかと思ってた。思いっきり聞いた自分が恥ずかしくなる。


「まぁ、俺が振った。好きな子ができたから」


「えっ?」


予想してなかった言葉を神谷くんの口から聞いて、思わず大声で聞き返してしまった。





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