アタシに付きまとう彼が愛おしい
あの時、もっと友達を大切にすれば良かった。
そしたら、こんなに苦しい想いしなくて済んだかも知れないのに。
「アタシも好き」
心の無い言葉ばっか掛けても苦しむだけって分かってたけど、どうしてもそんな性格を直せない。
こんなアタシでも、側に居たいと言ってくれている杉野くん。
杉野くんと過ごしていくほどアタシの寂しさが少しずつ無くしているのは自分でも気付いている。
こんな時に、転校生がやってきた。
朝っぱらからテンションが下がる。
アタシは知らないフリすればいいんだ。
関わる事なんてないから。
「今日から新しい仲間が1人増えたぞ。仲良くしてやれ」
アタシのクラスに1人の仲間が加えた。
しかも、何でアタシのクラスなの…?
「神谷直哉です。宜しく」
「神谷さんは、河野さんの後ろの席だ」
朝からずっと、今でもソワソワしていて不安なアタシを、神谷くんは涼しい顔で通り過ぎた。
「……っ」
助けて、洸太…
神谷くんはアタシの好きだった人。
「祐華、久しぶり」
「……」