アタシに付きまとう彼が愛おしい

それに洸太にドキッとした事なんて1回もないし?


そもそもアタシは本気で好きになるような展開があればどうなるかは分からないけど、

その時はきっと辛い過去を忘れられる程幸せになれるはず。


洸太はアタシに寄り添ってくれる。

そんな存在がアタシに必要なの。


だから洸太を好きになったら、終わりが見えそうで…

だから、好きにならないようにしているだけなのかも知れない。


それが現実に起こるなんて全く考えていなかった。


「祐華?」


え、誰…?

ゆっくりと瞼を開けたら、神谷くんが立っていた。


「何で…」


会いたくもない人が目の前に立っていて、思わず顔をしかめそうになるのを耐える。


「話したい」


「アタシはないよ」


ベッドから降りて、保健室を出る最中、心配そうにアタシを見つめる健永くんと目が合う。


アタシは「大丈夫っ」と健永くんに笑顔を見せる。


みんなの居ない所でこっそりため息をつく。
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