アタシに付きまとう彼が愛おしい
アタシがいけないんだ。
あー終わっちゃった…
ため息が零れるのを抑えきれない。
この日、アタシは思った。
向き合うって全てがいい方向に進めるわけじゃないんだね。
ちゃんと向き合おうとしても、どんな結果になるかは分からない。
でもね、やはり向き合うって凄く大切だと思う。
ちゃんと向き合おうとする気持ちさえあれば、きっと自分を強くするから。
洸太と出会った事を無駄だったと思いたくないから、洸太がアタシに「向き合う心」が大切だと教えてくれた事を感謝しよう。
そして、このままでは終わらせない。
洸太があんなに真っ直ぐな想いをアタシにぶつけてくれたように、これからはアタシが洸太を振り向かせてみせる。
杉野洸太は、同じクラスになり、その人気っぷりに驚いたのを今でもよく覚えている。
だけど、アタシは興味もなかった。
関わりたくもないって思った。
だからこそ、席が隣になった時は正直迷惑だった。
洸太の周りにはいつも女の子が沢山いて、アタシの存在が目立つわけだし。
調子に乗ってるよね…と隣からバカにしてた。
同学年だけならまだしも、年齢問わず先輩後輩、そして先生たちからも人気だった。
噂じゃ、洸太に告った事がない女の子はこの学校にはいないみたい。
勿論、アタシと先生は外すけど。
それより、席を変えて欲しい。
うるさい。
なんて事を考えていたら、洸太に「屋上に来い」と呼び出された。
最初は何を企んでんの?って思った。
だけど、呼び出された日から、アタシは信じられないくらい洸太を愛おしく思うようになったんだ。