アタシに付きまとう彼が愛おしい

「それ分かるよ。好きな人が目の前にいたら騒ぐのも仕方ないって思う。アタシだって騒ぐもの。だからって、猫を被って本当の自分じゃなくなるなんて嫌よ」


誰かに好かれたくて、わざわざ猫を被ってまで、近づきたいなんて思わない。


ありのままの自分でいいんだよ。


アタシが偉そうに言える立場じゃないかも知れないけど。


「そういう所が好きで、祐華と友達になりたかった」


「菜々…ありがとう」


「祐華が川嶋くんに言ったのを聞いてしまったんだけど、簡単に好きと言って、簡単に離れるくらいなら最初から大切な人を作らないって」


あー言ってたね…


今のアタシはそう思った。

大切な人を作らないより、人を信じてみようという覚悟も必要なんだなって。


大切な人が出来たら、その人をちゃんと大切にすべきだって。


もし、それでもダメだったら仕方ないって思う。


最初から否定するより、1回は信じてみるのもアリなんだね。

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