アタシに付きまとう彼が愛おしい

「最初はそう思ってた。でもよく考えてみたら、みんなが絶対に裏切るには限らないって。洸太、菜々、健永くんも大切な人だから」



「そうだね。友達や大切な人が出来たら、ちゃんと大切にすれば、簡単に離れんよ」


菜々が声を大きくしてしまう。


大切にするって、"ありがとう" "ごめんなさい"を素直に伝えたり、


自分の事ばっかりじゃなくて、相手の気持ちも考えられる人になったり、


あーダメや。


スカートをギュッと握りしめ、涙を堪える。


「祐華?」


「怖かった…」


菜々の伸びてきた手は、とても温かった。


菜々…


本当にごめんね。


本当にありがとう。
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