アタシに付きまとう彼が愛おしい

菜々と友達になれて良かった。


「あははっ、何泣いてるの?私は祐華の味方だから」


「菜々…」


菜々の方へと振り向かされ、暖かい手がアタシの顔を包む。


「安心して」


その一言がアタシの心が救われた。


いつになく真剣な面持ちで、真っ直ぐアタシの事を見つめる菜々。


何でもっと早く気付かなかったんだろう。


こんなにも素敵な友達がすぐ側にいたのに。


「菜々、本当にありがとう」


そう言って、菜々はそっとアタシから手を離した。


「言っとくけど、私はもう杉野くんの事、好きじゃないからね?」


「えっ?」


「だから祐華が頑張ってもらわないと困る」


「え、でも…」

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