アタシに付きまとう彼が愛おしい
2年前!信じられないっ
3年前、凄く仲が良かった子と絶交したの。
その子は西内葵と言うんだけど、中学1年の時、クラスメートに虐められてその子を助けたのはアタシなの。
「葵?何してるの?」
ある放課後。
その子が女子トイレの壁にカッターで泣きながら"死ね"と書いていた。
アタシが第一発見者。
「祐華…お願い…誰にも言わないで!」
大声で泣きながらアタシにお願いしてきた。
「分かったから、このカッターをアタシに頂戴」
「えっ…?」
「大丈夫だから。渡して…?」
「嫌よ!カッターが私を癒してくれる道具なのっ」
「こんな物を持ってどうするの?手放して…」
「祐華には分かんないよ!私の気持ちなんて」
「分かんないよ、そんなの。でもカッターよりアタシを頼ってよ!」
正直、どんな言葉を掛けたらいいか分からなかった。それでもアタシは葵に真剣だった。
「うん…」
ちょっと驚いたようで、アタシにゆっくりとカッターを渡した。
誰もいない教室に移動して、葵の話を聞く事にした。
「私ね…ずっと、ずっと、クラスメートに…
虐められたんだ…」
泣きながら、アタシに打ち上げてくれた。
「颯太に告白したら、振られた…。そしたら、みんなにバカにされて…虐められるようになったの…」
そんなの酷すぎるよ…
今すぐ葵を虐めた人たちを殴ってやりたいと思った。
「そっか、辛かったね。話してくれてありがとう。その事はちゃんと先生に話そうよ。アタシも一緒に話すから」
このままにしてはいけない。この虐めの事は先生も知るべきだと思う。
「いや、言わないで!…お願いだから…」
葵?そんなの良くないよ…
「どうして?」
「颯太を好きになったことは後悔してないの…だから大丈夫…」
「大丈夫なわけじゃないでしょ!」
葵はこれ以上何も言わずにアタシに深々と頭を下げる。