恋愛境界線
今田さんが出ていったあと、しばらく天井を見つめながらぼーっとしていた。
けれど、トイレに行きたくなりベッドから出ることを決意する。

入院したての時期は、ふらふらでトイレすら看護師さんに付き添ってもらっていた。
けれど、点滴のおかげで体調もよくなってきたし大丈夫よね。

起きあがって地面に足をつけて立ち上がってみる。
大丈夫なことを確信して、カラカラと点滴スタンドをおしながら病室の扉を開ける。


廊下に出ると看護師や医者が忙しそうにしている。
それを横目にみながら私はトイレを済ませてから、再び廊下に出て病室のほうへ向かう。


「かずや、待ちなさい!」

そんな声が後ろから聞こえてきて、振り返ったタイミングで男の子とぶつかる。

「きゃっ…!」

私はバランスを崩して点滴スタンドごと倒れそうになる。

あ、やば。
バランスがとれない…!
どうしたら…





< 100 / 230 >

この作品をシェア

pagetop