恋愛境界線

倒れるしかないと諦めたとき、誰かに引っ張られ抱き締められる。

視界に入ったのは白衣…"本郷先生"だった。



「大丈夫か?」



「本郷…先生…」


顔を見た瞬間、心臓の鼓動が一気にはやくなる。
やっぱりその眼差し、先生にそっくりだ…




「病室を出るときは看護師を呼べと言われていたはずだ。
まだ体調が戻っていないんだから、無理をしないように」

そっと私の腰から手を離して、"本郷先生"はそう言った。

「ごめん…なさい」

冷たい声。
もしかして、私が言うこと聞かなかったから怒ってるのかな…?

「病室をまでついていく。歩けるか?」

「はい」


私の1歩前を歩き、私の歩幅に合わせて歩いてくれる。


白衣の背中を見て思う。


先生と、身長も同じくらい。
声もやっぱり似ている。

ああ。

あの声で、"雪花"って呼ばれたい…


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