恋愛境界線
「あ…」

「本郷先生!!」

私が目を逸らす前に、後ろにいたしーちゃんが大声をあげて私の前に飛び出してくる。

「おう、藤川。もう赤坂と仲良くなったのか?これから仲良くしてやってな」

「もちろんです!!」

あーあ、しーちゃん目がハートになってるよ…

「本郷先生はこんな大きな段ボール抱えてどうしたんですか?」

「ああ、これはさっき大山先生に大量の本を押し付けられて、職員室に置く場所がないから準備室に片づけとけってさ。まったく、僕だって忙しいのにな」

「それは大変ですね。良かった私、手伝いますよ!ね、雪花ちゃん!」

「え!?」

予想外の展開に私はつい大声が出てしまう。

「いや、私は…」

「本当か?それは助かるな~じゃあ一緒に準備室に来てくれるか?」

「はーい♪」

「ちょっ…」

思わぬ返事に、私は本郷先生を睨み付ける。
この人、どういうつもりなの?

私に有無を言わせず、しーちゃんに引きずられながら準備室に連れていかれた。
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