恋愛境界線
第12章 すれ違う恋、伝わらない想い


ーーーーープルルル…



その日の昼のことだった。


ちょうど昼休みで、
僕は社会科準備室で昼飯を食べようとしてたときに携帯が鳴った。

画面に表示されていたのは"兄貴"という文字だった。


兄貴から電話なんていつぶりだろう。
そんなことを思いながら、通話ボタンを押した。


「もしもし」

『雄飛か』

「兄貴、久しぶりだな」

『本当だな。いつぶりか』


昔から成績優秀で真面目だった兄貴は、
現役で医学部に合格して、高校を卒業してから家を出て一人暮らしをしていた。

いまは内科医をしていて、ここからそう遠くない病院に勤務しているが、正月に実家に帰ったときくらいしか話をすることはなかった。


「どうしたんだよ、何か用事?」


『…ああ。
この間、お前の学校の生徒がうちの病院に入院してきたよ』

え。
それって、まさか雪花のことか?


「いつ?」

『5日前』


ああ、雪花だ。
まさか兄貴の病院に入院していたなんて。

雪花に兄がいるって言ってなかったけど、僕の兄貴だってわかったかな。
わかっただろうなー…

昔から兄貴と僕は似てると言われ続けてたし、兄貴のことを見て驚いただろうな。
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