恋愛境界線
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「ここにいたのか」
そんな声が聞こえて僕は声のほうへ振り向く。
そこには白衣を着たままの兄貴が立っていた。
僕はあのあと病室を立ち去って、病院の外のベンチに座り込んでいた。
30分ほど経ったあと、兄貴は涼しい顔で現れて今に至る。
僕は兄貴の顔を睨み付ける。
「…どういうつもりだよ」
「さっきお前が見た通りだが」
「ふざけんな!」
「ふざけてなんかない」
「僕のことを思ってそんなことを言ってるんだったら、迷惑でしかないから止めてくれ。
何度も言うけど、優姫と重ねてなんかいない」
「違う。
俺はあの子のことが好きになってしまった。
本気でだ。
そしてあの子も俺を選んだ。
だから諦めろ」
「そんなことない…!」
怒りを抑えきれなくなって、僕は兄貴の胸ぐらを掴む。