恋愛境界線
第14章 先生とわたし、二人きりの準備室
「あれ、雪花ちゃん部活は?」
ホームルームが終わったあと、しーちゃんは帰ろうとする私にそう問いかける。
「ああ…今日も休む」
退院して2週間。
隼人さんと付き合いだしてから、余計先生と顔を合わせづらくなり部活にも行かなくなった。
"大事をとってしばらく休む"
そう部長に告げてからかなり経つ。
そろそろ"体調不良"っていう言い訳も限界かなと思っている。
「まだ体調良くならない?」
「あはは…まあまあかな。というか、辞めようかなって思ってて」
でも辞めるには、顧問の先生…つまり本郷先生に退部することを伝えなくてはいけない。
それがどうしても勇気がでない。
「そうなの?なら言いづらいよね。担任の先生が顧問だしね」
「そうなんだよね」
それも一理あるなー…
私はしーちゃんの言葉に、口角をひきつらせながら笑う。
「わたしも一緒に行こうか?」
「…ううん。大丈夫、一人で行ってくる」
しーちゃんの言葉に心が揺れつつ、断って私は教室を出る。