恋愛境界線

「だから違うって言ってるじゃない!」







私はそう、大声で叫ぶ。
すると先生は驚いたような表情で、目を見開いて私をみる。


「先生は、全然わかってない」


今までのことを思い出して、私はぽろぽろと涙をこぼす。


「私のこと、全然わかってない」





先生と離れて1ヶ月。
色々考えた。

確かに、亡くなった婚約者が私に似ていることはショックだった。
だから別れを切り出した。
それは事実だ。


けど、先生が言ってくれた言葉。


『彼女はもう、”思い出”だ。

僕は”雪花”のことが…”赤坂雪花”を好きだってちゃんとはっきり言える』


そう言ってくれたことに対して、私はずっと考えていた。
本当に、本気で、そう言ってくれたんじゃないかって。



けど、今はっきりわかった。

"そうじゃない"って。

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