恋愛境界線


『…いいのか、それで』


その夜、私は奏に電話で全てを伝えた。
私と先生のこと、許してくれた奏には伝えないといけないと心に決めていた。


「うん」


『…雪花は先生と"同じこと"をしてる。分かってるのか?』


「そうね…今はそうかもしれない」


『俺はあまり賛成できない。相手を…先生の兄さんを、傷つけてしまわないか?』



「傷つけていないって言ったら、嘘になるかもね。
でも、隼人さんはそれも分かってて告白してくれたんだと思う。
あの人なら、全部受けとめてくれるんじゃないかって。

私、自分勝手ね。本当に。
ごめんね、奏」



奏だってたくさん傷つけたのに、こうやって未だに話を聞いてくれる。
私、いつも奏に頼ってばかりね。



『本郷兄弟、両方に雪花をかっさらわれるなんて。まじで本郷許さねえ。悔しい。一回ぶん殴りたい』


「殴るなら私を殴ってよ。奏から見たら私、最低な"尻軽女"でしょ?」


『殴らねえよ。
俺が恋愛対象にならないのは、もうわかりきってることだ。
なら、雪花の相談役のポジションは死守しないとな』


「奏…やっぱ優しすぎるよ」


『我ながら、それは思うわ。
とりあえず、今度絶対兄のほうにも会わせろよ。見定めるから』


「わかった」
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