恋愛境界線
「捻挫ですね。全治2週間です」
保健室に来て本郷先生の足を診てすぐ、保健医の吉田先生にそう告げられる。
「湿布を貼りますがあくまで応急処置なので、あとでちゃんと病院行ってくださいね」
湿布を貼ってもらったあと、私たちは保健室を出て扉を閉める。
「…ごめんなさい。私のせいで」
私の前を壁に手をつき、左足を引きずりながら本郷先生は廊下を進む。
「僕が梯子をのぼらせてしまったのも良くなかった。足を滑らすリスクがあることも予想できなくはなかったからな」
「でもその足じゃ、授業もできないんじゃないですか?」
しーちゃんは心配そうにそう言う。
「まあな…今日は新学期初日だし授業がないからいいんだが、明日からまずいかもな」
先生は笑ってそう言った。
「まあ誰かさんが責任をとって僕をフォローしてくれるなら、何とかなるかもな」
先生はそう言って、私の方をじーっと見る。
つられてしーちゃんも私の方を見ていた。
「………うん?」
意味がわからず、私はしばらく二人の顔を交互に見渡していた。