恋愛境界線
「珍しいね。いきなりなんて」

「…」

唇を離したあと私がそう言っても、隼人さんは何も言わない。

いつもと雰囲気が違う。
気のせい?

「隼人さん?」


私が不思議そうに名前を呼び掛けると、
隼人さんは急にパーカーのポケットから何かを取り出して、私の目の前に差し出す。


「…何?」

目の前に置かれたのは、小さな黒い箱だった。
このサイズの箱は、もしかして…

いや、まさかよね?


「開けてみてくれ」


まさかの展開に
手が汗でびっしょりになりながら、おそるおそる箱を手に取って開ける。


中に入っていたのは…


予想をしていた通りというのもおかしいが、
シルバーの指輪だった。
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