恋愛境界線
「これって…私に?」


「ああ」


少し緊張した面持ちで、隼人さんはそう言う。


「明日で付き合って1年が経つ。けど、明日は仕事で会えないから1日前倒しだが」


ちゃんと、覚えててくれたんだ。

忙しいはずなのに、
その合間を縫ってプレゼントまで買いに行ってくれたなんて…


「何を渡そうか、とても悩んだ。
指輪を渡したら重すぎるだろうかと考えたが、やはり指輪にした。
雪花は高校生だから、
そんな高価なものにはしなかったが」


少し照れの混じった表情で、
隼人さんは私の目を見つめて続ける。



「ずっと一人暮らしで、仕事中心の生活だった。
帰ったら真っ暗で誰もいない部屋に帰る意味は見いだせず、ほとんど病院にいた。

飯だってコンビニやスーパーで買った弁当や惣菜ばっかりで、自分で作ることなんてほとんどなかった。

けど…この1年、
帰ったら部屋に電気がついていて、
玄関を入れば笑顔で雪花がむかえてくれる。
料理も作ってくれている。

誰かが待っててくれるって、
こんなに幸せなことなのかと実感した」


隼人さん…
そんなこと思ってくれてたの?
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