恋愛境界線
「こんな、何もない俺のそばにいてくれてありがとう。
いきなり指輪なんて
重いと思われたかもしれないが、
俺がいま雪花に渡したいと思ったのは、指輪しかなかった」
隼人さんの真剣な眼差し。
まるで告白してくれた1年前のあの日のよう。
「何にも…なくないよ。
隼人さんは勉強も教えてくれるし、
忙しい中短い時間でも会いに来てくれて、
ずっと…ずっと私を不安にさせないようにしてくれてて。
私のこと、ちゃんと想ってくれてるんだって。
わたし、この1年ずっと幸せだった。
なのに私はなにもできてないし、
今日だって何も用意してないし…」
そんなに真剣に考えてくれていたなんて思わなくて、思わず涙が滲む。
そんなこと言われたら泣いちゃうよ、私。
「さっきカレー作ってくれただろ。
それだけで十分だ。
ずっと言っているが、俺のそばにいてくれるだけでいい。
俺にはこんなことしかできないが、
もし雪花も同じ気持ちでいてくれるのなら、
受け取ってくれないだろうか」