恋愛境界線
第2章 縮まる距離、越える一線
「これ、左の3段目ね」
「…はい」
私はブスッとした顔で本を受け取り、本棚に片付ける。
本郷先生とあの社会科準備室で二人きり。
何でこんなことになってるの?
「次これね」
先生は笑顔で次々と本を渡してくる。
「ちょっと人使い荒くないですか?」
「痛てて…捻った足が痛いな~」
「うっ…汚いですよ」
私は大きな深いため息を1つついて、先生に背を向けて本の片付けを続ける。
しーちゃんは部活(テニス部らしい)に行ってしまい、私一人になってしまった。
二人きりなんて気まずすぎるよ。
しーちゃん帰ってきて~~!
「次はどれ…」
私が振り返ると、先生はデスクに頬杖をついて私の方をじっと見ていた。
また、あの目…
やっぱり気のせいじゃなかった。
何でそんな哀しい表情をするの?