恋愛境界線

うわあ…懐かしい。

1年ぶりに来た病院は全然変わっておらず、医者や看護師が慌ただしく仕事をしている。

ナースステーション、こっちだったよね。

1年前の記憶を引っ張り出して、感覚で歩いていくと目の前にナースステーションが見えてくる。
記憶は正しかったようだ。

「すみません」

一番近くにいた若い看護師さんに話しかける。
見覚えがないため、私が退院した後に入った人だろう。

「はい」

私を見て看護師さんは笑顔を浮かべる。

目がくりっとしていてとても可愛い人で、笑うだけでその場の雰囲気がぱっと明るくなるような女性だった。

「隼っ……本郷先生に資料を届けに来たのですが、渡していただけないでしょうか」

「ああ!本郷先生から聞いています。お預かりしますね」

私は看護師さんに封筒を手渡して、ナースステーションを見渡す。

看護師さんって、可愛い人多いなあ…。
この中で隼人さんも働いているんだよね。

「本郷先生って、妹さんいたんですね。兄妹仲が良いんですね」

看護師さんはそう言って笑う。
私はその言葉に笑顔のまま硬直する。
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