恋愛境界線
「…先生とはもう、3年生になって全く関わりがなくなったから大丈夫よ」

私はそう言って笑いかけたあと、隼人さんの右肩にもたれ掛かる。


「…昨日の話の続きだけれど、
私は隼人さんを”代わり”だなんて思ってない。
ちゃんと、”本郷隼人”が好きよ。
これからもずっと一緒にいたいと思ってるから、指輪も受け取ったの。

それより、私のほうが心配だよ」

「何でだ?」

「隼人さんって格好良いからモテるじゃん。
あんな綺麗な人に囲まれて仕事してるんだって思ったら、嫉妬した。

資料を渡したときも、隼人さんの”妹”にしか見られなかった。

そのとき、改めて釣り合ってないんだなって思った。
堂々と”彼女です!”って言えなかった。
自信がなかったの。

隼人さんは格好良くて医者としても優秀で、
何でもできて完璧なのに、
私は可愛いわけじゃないし、
勉強もそんなにできるわけじゃないし、
何もないただの女子高生。

そんな素敵な人の彼女がこんなのじゃ、
恥ずかしいんじゃないかって」
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