恋愛境界線
「そんなわけない。
俺は全然完璧なんかじゃないし、
むしろ不器用な人間だと思う。

昨日は”あいつの代わりでもいい”って言ったが、完全に見栄を張った。

雪花がいつか
”やっぱりあいつの方が好きだ”って、
”だから別れたい”って言うんじゃないかって。
毎日怖くてしかたがない。

俺はそれくらい、雪花のことを好きなんだ。

だから一緒に並ぶのが恥ずかしいだなんて思ったことなんてない。
むしろ見せつけてやりたいくらいだ。
”俺の彼女だから絶対手出すなよ”って。

雪花と付き合いはじめて気づいたよ。
俺は束縛の激しい重い男だってな。
愛想を尽かされないようにするよ」

「尽かさないよ」

「なら良かった」




しばらくの間、隼人さんの肩にもたれたまま二人で空を見上げる。
空は赤く染まり、もうすぐ陽が落ちようとしていた。

告白をしてくれた日以来、初めてちゃんとこんな話をしたような気がする。
朝は雲がかっていた空には夕焼けが広がり、
気持ちもすっきりして空を見あげることができた。
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