恋愛境界線
「先生」

「ん?」

「何でそんな…」

”哀しい表情をするんですか?”
そう続けようとしてやめる。

「どうした?」

「…何でもないです」

「何だよ。僕に見惚れてた?」

ドキッ。

「100%ないです」

「ひどい…冗談だよ」

「変なこと言ってないで次の本ください」

「冷たいね、赤坂は。はいこれ」

私は深いため息をつくと、本を受け取って本棚に片付けようとして、表紙に目を止める。

「”星座の歴史”、”星空写真集”、……星、好きなんですか?」

「ああ」

「私も!昔から星が好きで、前の学校では天文部に入ってたんです。この学校には天文部ありますか?あれば入部しようと思ってて!」

パラパラと本をめくると、世界の色んな場所の星空写真が載っていた。
やっぱり、星って素敵。

「あるよ」

「本当ですか!?」

「僕、顧問だよ」

「そうなんですか!って………うん?」

私は何度かまばたきをして、先生を見つめる。
< 16 / 230 >

この作品をシェア

pagetop