恋愛境界線
「嬉しい」

隼人さんは、いつもよりワントーン高い声でそう言った。
何度も笑った顔は見てきたけれど、
今までに見たことないくらい優しく朗らかな笑顔で微笑んだ。

その笑顔を見て、私はそんなネガティブな気持ちが全部吹き飛んだ。



ああ。

わたし、なにを考えてたんだろう。

この笑顔が答えだった。

私がうじうじして、ネガティブに考えているだけだった。

私はまだ高校生なんだから、しょうがないってくらい隼人さんはわかっている。

もっと自信持たなきゃ。




「…雪花?」

「うん?」

「何で泣いてるの」

「え?」


右手を目に当てると、生温かい涙が指に絡み付く。

「あれ、本当だ」


「俺、何か傷つけること言ったか?」


「ううん。全然」


むしろ、逆だよ。


「幸せで」


「幸せ?」


「そうよ」


左手薬指に光る指輪に触れて、
心配そうな顔をする隼人さんを見つめる。
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