恋愛境界線
暑いな。

廊下の窓から入ってくる風はだんだんとあたたかくなってきていて、額に汗が滲む。

そらそうか、もうすぐ7月だもんな。

グラウンドでは体育の授業中で、テニスをする生徒の姿が目にはいる。



3年生、か。

未だに、ふと気がついたら探している僕がいる。




ああ。見つけてしまった。

一番右のコートの白線の外に、体操着の雪花を。
クラスの子と話をしているようだった。


僕にもまた、前みたいに笑ってくれないかな。
兄貴には、あんなふうに笑うんだろうな。



別れてから、もう1年以上が経つ。
気づけば彼女は受験学年になり、以前よりも綺麗になったような気がする。

兄貴と上手くいってるんだろう。


そうだよな、兄貴みたいな真面目な男のほうがいいよな。

あーあ。
いつまでこんなこと考えてるんだろう、僕は。

引きずりすぎだろ。
こういうところが駄目なんだろうな…
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