恋愛境界線
「確認ですが”地理”の先生ですよね?”地学”じゃないですよね?」

「そうだよ」

「普通地学の先生がするのでは?」

「星、好きだから」

「……。私って運がないなあ」

私は大きな深いため息をついてうなだれる。

「でも、入るんでしょ?」

先生は不敵な笑みを浮かべて、机の引き出しから入部届けを取りだし、私の目の前でひらひらさせて煽ってくる。

「うっ…わかりました。入ります!」

「よし。じゃあこれから担任として、顧問としてもよろしく。赤坂さん」

あんなに関わりたくなかった人が、まさか担任としてだけじゃなく、部活の顧問にもなるなんて。

顔を合わせたら、どうしても思い出してしまう。
朝の…キスのこと。
あの唇と、私…

「どうした?」

「…えっ!?何も?さっさと片付けましょう!」

何思い出してるの、私!
それは忘れなきゃ!
忘れるのよ!私…
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