恋愛境界線
☆☆☆☆☆☆☆☆
「…」
見てはいけないものを見てしまった。
私は制服の彼女が走っていった、反対側の職員室前の廊下に立ち尽くして放心していた。
本郷先生は、亡くなった婚約者を忘れられないものとばかり思っていた。
けど、違っていた。
まさか、生徒のことを好きだったとは。
あの子は、私の関わっているクラスの子ではない。
“1年前”
そんな話をしていた。
本郷先生は去年も2年生の担当だったから、
つまり、3年生の子かしら。
あの子のことを忘れさせないと、本郷先生は私に振り向いてはくれない。
さあ、どうやって振り向かせようか。