恋愛境界線
第19章 四角関係、それぞれの思い-前編-
夜21時を過ぎた。

もうすぐ7月だから、少し暑いなあ…

小川先生に閉じ込められたときのまま、私は床に座り扉にもたれた状態で真っ暗な教室の一点を見つめていた。

私が閉じ込められたのは、数学科準備室のようだった。
けれどほとんど使っていないようで、とてもほこりっぽい。

隼人さん、心配してるかなあ。
今日は隼人さんの部屋で会う予定だったもんなあ。
携帯取り上げられたし、連絡がとれない。
助けも呼べない。

「隼人さん、ごめんね」

私は首にかけたチェーンを外して、チェーンから隼人さんにもらった指輪を左手の薬指にはめる。

「綺麗…」

天井に向けて手をかざすと、真ん中の小さなダイヤモンドがキラッと光る。

隼人さんと、こんなに幸せな日々を送っているのに、なんで、こんなことに巻き込まれるのよ。

なんで、先生の今カノにいじめられないといけないのよ。

本当に関係ないのに!!


別れたあとも、ずっと…私の心を掻き乱す。

「本当に、厄介な人…」




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