恋愛境界線

「大丈夫だよ」

「え？」

「小川先生に迫られたとしても、付き合ったりしない。約束するよ」

…もう。

私の気持ち、見透かされてる。

「昔の僕とは違うよ。僕は雪花が好きだから、たとえ学校をクビになったとしても、雪花を守る」

先生…。

「でも、兄貴との関係を邪魔したいわけじゃない。昔みたいに迫ったりはしないよ。
まあ…たまーに、気持ちが高まって、抱きしめちゃったりはあるかもだけど」

「駄目じゃん」

「…だな」

「ふふ」

以前と変わらない、久しぶりの先生とのやりとりに、思わず笑いが漏れる。

「出会った頃から全然変わらないなあ」





「…やっと、笑ってくれた」

先生のその言葉に、私はハッとする。

「思わず…」

先生は優しい目をして、私をじっとみつめている。
そんな表情、久しぶりにみたよ。

その目にドキッとして、思わず私は下を向く。