恋愛境界線
『雄飛か。何の用だ』

電話口の隼人さんは、少し不機嫌そうに感じる。

「…隼人さん。雪花です」

私がそう言うと、隼人さんの声がしばらく聞こえなくなる。
驚いてるよね、そりゃあ…

「先に言っとく!いま、先生の携帯からかけてるけれど、決して隼人さんとの約束を破って、先生と浮気してたとかじゃないから!それは信じて…?」

こう言っとかないと、誤解されたらイヤだもんね。
隼人さん、焼きもち焼く方だし。

「…兄貴、嫉妬深いしな~」

とか、隣で先生が余計なことを言うので、鋭く睨み付ける。

『うるさいぞ、雄飛』

あーあ…隼人さんに聞こえてるし。

「何だ、聞こえてたか」

『聞こえるように言っただろ』

本郷兄弟…いつもこんな感じなのかな。

見た目は似ているけれど、タイプが全く違うから、会話が弾んでいる姿が想像できない。

兄弟仲はあまり良くなさそうだ。

「兄弟喧嘩はあとにしてもらえますか?」

『「すみません」』

2人とも、素直なところは一緒だなあ。
なんか可愛い。

『学校で、何かあったのか?』

「…うん、実はねーーー」





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