恋愛境界線
「…暑いな。もうすぐ7月か」
隼人さんはそう言って、リビングの窓を開ける。
私はソファーに腰掛け、下を向いたまま頷く。
「ごめんなさい、心配かけて」
「雪花は悪くないだろ」
隼人さんは私の前にひざまずくと、腫れている右足に触れる。
「軽い捻挫だな。1週間すれば治るはずだ。もう少し冷やしたら、固定しようか」
「ありがとう」
氷で私の足を冷やす姿を見て、さっきの先生の姿と重ねてしまう自分が嫌だった。
私はなんで…ずっと忘れられないの。
「しばらく不便だろうから、迎えにいけるときは行くよ」
「いや、いいよ!隼人さん、忙しいでしょ?」
私が断ると、隼人さんはピタリと手を止める。
反応がない。
「?…隼人さん?」