恋愛境界線
隼人さんはしばらく私のことを見つめたあと、ゆっくりと制服のボタンを留めはじめる。

「隼人さん…」

「ごめん、乱暴にして」

「いいんだよ、それでも…」

私はそのとき初めて、隼人さんの左目から一筋の涙が伝うのを目のあたりにする。

「付き合うときに、約束したのにな。

“俺の無責任な行動や心ない言葉で、泣かせたり傷つけたりはしない”って。

なのに、そうやって泣かせてしまった」

「…」

また私は、泣いてしまったのか。

でも、そんなのどうでもいい。
私なんかより、隼人さんを傷つけて、泣かしてしまった私のほうが重罪だ。


「隼人さ…」

「雪花。君はもう、気づいているだろう」


「え?」
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