恋愛境界線
☆☆☆☆☆

「赤坂さんは関係ない。だから、危害を加えるのはやめてもらえないですか」

次の日の放課後、小川先生を屋上に呼び出すことに成功した。
僕がそう伝えると、小川先生は深いため息をつく。

「あの子、口止めしたのにもう話したんですね」

「生徒にこういうことをするのは、どうかと思います。問題になりますよ?」

「本郷先生こそ、生徒と恋愛関係になるのはいかがなものですか」

「今は…そんなんじゃありません」

「職員室で抱き合ってたじゃないですか」

見られていたのは迂闊だった。
思ったまま突っ走る。
僕はこういうところが駄目なんだろうな。

「…僕が、一方的に好きなだけです」

「本郷先生が?」

「だから、僕のことは生徒に手を出した教師とでも言いふらせばいい。いつでも教師辞めてやるよ。

でも、彼女は…受験も控えた大事な時期だ。だから、何も手出しはしないでほしい。お願いします」


僕が今の雪花にしてやれることなんて、こんなことくらいだ。
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