恋愛境界線
「はい」

『もしもし』

電話越しに聞く先生の声は、直接聞くよりも低めのハスキーな声でドキッとする。

『突然電話してごめんな』

「全然大丈夫です。どうしたんですか先生?」

先生から電話してくるなんて、なんか新鮮。
急ぎの用事かな?

『もう学校じゃないんだから”先生”は止めろよ』

「あ…ごめんなさい。つい癖で」

『あと敬語も学校の外では使わなくていいから。ため口で話して』

「はい。…じゃなくて……うん」

今まで敬語で話していたのをいきなりため口にするなんて、恥ずかしいというか不思議な感じがする。
照れるなあ。

『よし』

先生はそう言って笑う。

「それで、どうした……の?何か急ぎの用事?」

慣れないため口で先生に向かって問いかける。

『特にないよ』

「え?」
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