恋愛境界線
第4章 彼とわたし、最後のデート-前編-
まさか、突然奏がくるなんて。
予想外の展開だ。
「びっくりしたよ。突然来るんだもん」
「会いたかったから、学校は仮病で早退して、電車に飛び乗った」
「早退してきたの?明日からゴールデンウィークなんだし、いつでも会えるじゃん」
「今日会いたいと思ったから会いに来た」
「そっか…」
いつもなら沈黙も全然苦痛じゃないのに、何を話していいか分からず戸惑う。
1ヶ月くらい見てないだけなのに、奏の制服姿が懐かしく見える。
あと、ちょっと髪切ったのかな?
「雪花、手」
「うん?」
「手繋ぎたい」
ドクン…
「あ…うん」
手を差し出すと奏は私の右手をとって、再び歩き始める。
奏とこうやって歩くの、久しぶりだ。
いつ、あのことを切り出そう。
「あの、さ…奏」
「うん?」
「えーっと…」
「どうした?」
「…ううん、何でもない」
ああもう、私の意気地無し。
今日言わないと、この機会を逃したら言える気がしない。