恋愛境界線
ぐるぐるとそんなことを考え続けていて、ふと回りを見渡す。
このまま真っ直ぐ進むと、こっちは…
「ねえ、かな…」
「雪花、こっちの学校はどう?」
言葉、遮られた…。
「うん、楽しいよ。しーちゃん…さっきの藤川さんのことなんだけど、仲良くしてくれてるし、部活も楽しいし」
「そういえば、担任の…本郷先生だっけ、怪我させた足はもう治ったの?」
急に本郷先生の名前を出されて、心臓が跳ね上がる。
「ああ、うん。もう普通に歩いてるよ」
「イケメンらしいじゃん」
「ああー…確かに学校内ではイケメンって言われてるけど、私は別にかなー」
何だろう、この奏の言い方。
もしかして探られてる?
「俺の方が格好いい?」
「え…」
奏は私の方をじっと見ている。
その目がまるで全てを見透かしているかのように感じる。
「いきなりどうしたの?いつもそんなこと言わないじゃん」
心拍数がますます速くなっていく。
私、声震えてる?