恋愛境界線
「先…生」

振り返ると険しい顔をした本郷先生が立っていた。

「制服でホテル街はまずいでしょ」

先生、会議だって言ってたのに何でここに?

「今、明日から長期休みだからハメはずして遊んでるやつの補導してんの。巡回してたらそしたら君らがホテル街に入っていくから」

よく見ると先生の左腕には”○×高校生活指導”の札を巻かれていた。
本当に巡回してたんだ。

「あんたが”本郷先生”か」

「初めまして」

完全に修羅場だ。
ドラマでしかなさそうな泥沼展開。
最悪の場面だ。

「へえー…確かにイケメンだな」

「ありがとう。君もなかなかモテるでしょう?」

「全然。だって…」

そう言うと奏は私を背中から抱き締める。

「まわりはみんな、俺が雪花にベタ惚れなの知ってるから女子は誰も近寄ってこないよ。ね、雪花」

「えっ…」

急に話をふられて何て答えたらいいかわからない。
< 45 / 230 >

この作品をシェア

pagetop