恋愛境界線
「だからさ、手出さないでくれる?本郷先生」
やっぱり、奏は気づいていたんだ。
だから今日、確かめに来たんだ。
「なに生徒に手出してんの?
俺が学校にリークしたら、あんた1発でクビだよ?
どうせその顔だから、いっぱい女の子寄ってくるんでしょ?
だったら雪花じゃなくたっていいじゃん。
でも俺は雪花じゃないと駄目なんだよ!」
「奏…」
そんなに私のこと、想ってくれてたんだね。
「今、手を引くならなかったことにしてやる。だから俺らのこと、見なかったことにしてここを去ってよ」
「……」
ああ、先生困ってる。
そりゃそうだよね。
先生は、ここを去るだろう。
学校にバラされるリスクを背負ってまで、私と一緒にいたいとは思わない。
だから先生が背を向けてここを去ったって、私は先生を責めたりしない。
傷ついたり、泣いたりしない。
”当然の選択だ”と納得して今までのこと、全部忘れる。
今までのことは全部夢。
そう自分に暗示をかけたら忘れられる。
だから…