恋愛境界線
「いいよ、バラしても」




「え…」

何、言ってるの。

「そんなことで僕が彼女を好きな気持ちは変わらないよ」

「……」

予想外の答えだった。


「出会ってたった1ヶ月。そりゃあ君より一緒にいた年月は短いし、彼女について知らないこともたくさんある。
…今みたいに、泣かせてしまうこともあるかもしれない」


”今みたいに”?

手を目に当てると、指がぐっしょり濡れる。
あれ、私泣いてる?


気づけば私の頬には涙が伝っていた。

覚悟していたのに、泣かないとさっき決めたばかりなのに。


「せつか……?」

奏はわたしを見て驚いた表情をしていた。
私は手で何度も涙を拭う。

「何度も泣かせてごめんな。もう出会ってから3回目だ」

先生の言葉に、私は頭を横に何度も振る。
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