恋愛境界線
「ごめん、奏…本当にごめんなさい」

涙で奏の横顔が滲んで霞む。

「謝らなくていいよ。
ずっと、覚悟してたことだからさ。
雪花が本当に先生が好きだって、よくわかったから。

10年…一緒にいたけど、雪花は俺の前で一度もそんな風に泣いたことなんてなかった。

だから雪花が先生の前で泣いたって聞いたとき、ああ…雪花は本気でこの人を好きになったんだなって思った。

俺の入り込む隙は…もうないなって。

けじめをつけないといけないな、俺も」






小さい頃から、ずっと一緒にいた幼馴染み。

たぶん私のことを、私以外で一番わかっているのは奏だろう。


全部見抜かれていたんだね。

先生を本気で好きになったことも。
奏を”弟”以上に見れなかったことも。

全部わかった上で一緒にいて、
全部知った上で責めないで、
全部受け入れようとしてくれてるんだね。


優しすぎるよ。
私はその優しさに甘え続けていたんだね。
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