恋愛境界線
「別れたこと、後悔してる?」


「ううん。それは後悔してない。
私が好きなのは…本郷先生だから。
でも…奏を傷つけたことは後悔してる。

ちゃんと別れてから先生のところにいけばよかったって」


「それは全部僕のせいだって言っただろ?」


「私のせいだよ。私が…中途半端なせい」


私がそう答えると先生は椅子から立ちあがり、仕切りの向こう側から歩いてきて私の目の前で立ち止まる。

先生はなにも言わずに私を見つめている。



「さっき、来てくれてありがとう。
あんな風に考えてくれてると思わなくて、嬉しかった」


「…廊下から、雪花が見たことない制服の男と出ていくのが見えたんだ。
見たときに察した。
雪花の彼氏だって。
だから、パトロールの名目で追いかけた」


「びっくりしたでしょ?ホテル街に入っていくから」


「焦ったよ。
でも、しょうがないって思った。
彼と雪花はまだ付き合っていて、僕に止める権利はない。
だからホテルに入ったら、僕は雪花を諦めようって思った。

でもその前に声かけちゃったよ。
いくら彼氏でも、奪ってでも他の男に抱かせたくなかった」


「…ありがとう」


先生はポケットからハンカチを取り出し、私に差し出す。
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