恋愛境界線
軽い気持ちで表面を向けて、私は後悔した。
しばらくは時が止まったかのように、写真から目が離せなくなっていた。
これは…私?
それが真っ先に出た感想だった。
いや、そんなわけない。
だって写真の日付は、2012年3月14日だもの。
写真は私の高校の卒業式で、男女2人が写っていた。
男の子のほうはすぐにわかった。
高校生の本郷先生だ。
先生、この学校の卒業生だったんだ。
そして…
女の子のほうは、髪が長くて幸せそうに笑っている。
左手の薬指には指輪が光っていた。
そして…
私にそっくりだった。
ああ。
そういうことか。
だから先生は私を見て、そんな哀しそうな表情|《かお》をするんだね。
私は、そのときすべてを悟った。