恋愛境界線
「悪い。何てお詫びをしたらいいか」

先生はそう言ってうつ向く。

転校初日から担任とギクシャクすることになるなんて思わなかった。
訴えたいところだけれど、この人がクビになったところで私は学校中にこの事を知られることになる。
もしかしたら奏の耳に入るかもしれない。
それならいっそ、心にしまって墓場まで持っていこう。

私はそう決意する。

でもこれから最低1年間、もしかしたら2年間この人と関わることになる。
私、やっていけるのだろうか。

「…とりあえず、必要最低限私に話しかけないで。わかりましたか?」

「え、それは難し…」

「わかりましたか?」

「…努力はします」

先生を言いくるめて、私は深いため息をつく。
私の学校生活、これからどうなるんだろう。



ーーーキーンコーンカーンコーン…


学校中にチャイムが鳴り響く。
そんな不安な気持ちを抱えながら、私と先生は準備室を出て2年A組の教室へと歩き始める。

先生から少し距離をとり、私は背中を追いかけた。
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