恋愛境界線
第7章 過去の面影、迫られる選択
先生とのデートは、
買ってきてくれた缶コーヒーを飲んだあと車を発車させ、
再び3時間と少しかけて自宅の最寄駅まで戻ってそこで終わった。
平然を装っていたつもりだったけど、
かなり動揺していたので、私の様子がおかしいことは気づいていたと思う。
"ちょっと冷えちゃって。風邪引いたかも"
そう言って誤魔化した。
"着いたら起こすから寝てていいよ"
心配そうな顔をしてそう言ってくれた。
その言葉に甘えて、私は窓側にもたれ掛かって寝たふりを続けた。
その間も写真の二人が頭から離れなくて、今にも泣きそうな気持ちを我慢した。
写真は先生が車内に戻ってくる前にダッシュボードに片付けた。
ティッシュももとの位置に戻した。
あの写真のことはどうしても信じたくなくて、先生に何も聞けなかった。
先生の車が去るのを見送ったあと、私はその場に崩れ落ちる。