恋愛境界線
第7章 過去の面影、迫られる選択


先生とのデートは、
買ってきてくれた缶コーヒーを飲んだあと車を発車させ、
再び3時間と少しかけて自宅の最寄駅まで戻ってそこで終わった。


平然を装っていたつもりだったけど、
かなり動揺していたので、私の様子がおかしいことは気づいていたと思う。


"ちょっと冷えちゃって。風邪引いたかも"


そう言って誤魔化した。


"着いたら起こすから寝てていいよ"


心配そうな顔をしてそう言ってくれた。

その言葉に甘えて、私は窓側にもたれ掛かって寝たふりを続けた。
その間も写真の二人が頭から離れなくて、今にも泣きそうな気持ちを我慢した。


写真は先生が車内に戻ってくる前にダッシュボードに片付けた。
ティッシュももとの位置に戻した。

あの写真のことはどうしても信じたくなくて、先生に何も聞けなかった。


先生の車が去るのを見送ったあと、私はその場に崩れ落ちる。
< 70 / 230 >

この作品をシェア

pagetop