恋愛境界線

「…たまたま、似た人を好きになってしまっただけかもしれないぞ」



「うん。私もそう思いたかった。

でもね先生、一緒にいても寂しそうな表情をするの。
私じゃなくて、どこか遠くを見ているような目をするの。

写真を見たとき、その意味がわかった。

ああ、この人と重ねて見ていたんだなって。
納得したの。
私はこの人の代わりだって。

だから先生は、私のことを好きな訳じゃないの」


私は、学校の先生と秘密の恋愛をして、
彼氏を傷つけてまで別れたくせに、
先生は私を昔の彼女の代わりにして。


きっと、奏を傷つけた罰ね。
幸せになろうなんて、思っちゃいけなかったんだ。


「先生に確かめたのか?」


「ううん。怖くて確かめられなかった」


「じゃあ俺が確かめてやるよ。携帯貸して」


「ううん。いいよ」


「良いわけないだろ。
あいつが真剣に、覚悟をもって雪花を好きだってわかったから、俺は諦めたんだ。
そうじゃなかったらぶん殴ってやる」


「怖いよ。本当にそうだったら私…立ち直れない」


そう言うと、奏は私の肩を抱いて私の目を真っ直ぐみつめる。
< 77 / 230 >

この作品をシェア

pagetop