恋愛境界線
「…たまたま、似た人を好きになってしまっただけかもしれないぞ」
「うん。私もそう思いたかった。
でもね先生、一緒にいても寂しそうな表情をするの。
私じゃなくて、どこか遠くを見ているような目をするの。
写真を見たとき、その意味がわかった。
ああ、この人と重ねて見ていたんだなって。
納得したの。
私はこの人の代わりだって。
だから先生は、私のことを好きな訳じゃないの」
私は、学校の先生と秘密の恋愛をして、
彼氏を傷つけてまで別れたくせに、
先生は私を昔の彼女の代わりにして。
きっと、奏を傷つけた罰ね。
幸せになろうなんて、思っちゃいけなかったんだ。
「先生に確かめたのか?」
「ううん。怖くて確かめられなかった」
「じゃあ俺が確かめてやるよ。携帯貸して」
「ううん。いいよ」
「良いわけないだろ。
あいつが真剣に、覚悟をもって雪花を好きだってわかったから、俺は諦めたんだ。
そうじゃなかったらぶん殴ってやる」
「怖いよ。本当にそうだったら私…立ち直れない」
そう言うと、奏は私の肩を抱いて私の目を真っ直ぐみつめる。