恋愛境界線
「だから…格好よくてびっくりしたでしょう?」

「…え?」

しーちゃんは教壇に立つ先生を見とれるように見つめる。

「あーんな格好いい先生なかなかいないよね!学校中にファンがたくさんいるんだよ」

私はちらっと教壇の方へ目を向ける。

確かに顔立ちも整っていて、すらっとしている。
身長も高くて、おそらく180センチ近くはあるだろう。
ファンもたくさんいるのも納得できなくはない。

先生がこちらに向いたとき目があう。
私はその瞬間、”怒ってるぞ”と言わんばかりにわかりやすく目を逸らした。

「へえ、そうなんだ…私はそうは思わなかったなあ」

「本当?珍しい~」

そんなこんなで話している間に、朝のホームルームが終わる。
次は体育館で全校集会があるらしかった。

「次、体育館に移動だよ。私と一緒に行こう!終わったら学校案内もするね!」

「ありがとう」

準備を整え、椅子から立ち上がったタイミングでポケットに入れていた携帯が震える。
画面に”奏”の名前を見てドキッとする。

メッセージが来ていたが、どうしても返事を返す気になれずすぐにポケットに入れて、教室のドアの前で待つしーちゃんのほうへ走っていった。
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