恋愛境界線
黒縁メガネをかけていてわかりにくかったが、よく見たら本郷先生に顔がそっくりだった。
思わずお医者さんの顔をじっと見つめる。
向こうも私をじっと見ていた。
こんなに似ている人が、
世の中にそういるものなのだろうか。
目線を下に向け、胸元に着けている名札に目を向ける。
見て、さらに驚いた。
そんなこと、あるのだろうか。
まさか…
神様、いたずらが過ぎるよ。
「本郷…隼人…」
私が驚いた顔をしているのを見て、
そのお医者さんは声をあげる。
「ああ…そういうことか。
その制服、君は雄飛の生徒か?」
やっぱり。そうなんだ。
この人は先生の兄弟だ。
先生と別れたばっかりで傷心中の私に
そんな偶然、あるのだろうか。
「俺は雄飛の兄で内科医をしている、
本郷隼人(ほんごうはやと)だ。
君の担当医になる。よろしく」