恋愛境界線
第10章 惹かれる二人、近づく距離
「早速ですが、娘さんは栄養失調と過労を併発しているため、しばらく安静が必要です。数日入院してもらうことになります」
「そうですか…」
私が倒れたと聞いた母は病院に駆けつけてくれて、2人で”本郷先生”から説明を受けていた。
説明を聞いている間も、私は集中できず”本郷先生”を見ずにはいられなかった。
本当に顔はそっくりだ。
顔も整っていて、背も高い。
もしかしたら先生より背が高いかもしれない。
けど”本郷先生”は真面目そうで話し方が
固いのと、全然笑わないし愛想がない。
性格は全く違うようだ。
「先生、よろしくお願いします」
説明が終わると母は立ちあがり一礼する。
母を見て”本郷先生”も一礼をして、すぐに病室を立ち去った。
「びっくりしたじゃない、倒れたなんて聞いたら。もう、心配かけて」
「ごめんなさい」
母はため息をついて、家から持ってきた私の荷物をロッカーに片付け始める。
「一応服とか下着は持ってきたけど…他に何かほしいものある?」
「そうだなー…」
私の頭のなかは”本郷先生”のことでいっぱいで、母との会話も頭に入ってこなかった。
次、いつ病室にきてくれるだろう。
そんなことばかり考えていた。